かなり前の記事にも書いたことがありますけど、私にとってERIC BURDONは特別な存在のシンガーです。

もちろん、ANIMALS、ERIC BURDON & ANIMALS、ERIC BURDON & WARのアルバムは全て揃えています。

ただ、いくら特別な存在だからといっても、彼の全ての作品が良いとは思っておりません。

中には何度聴いても好きになれない作品もあります。
アルバム単位でいうとERIC BURDON & ANIMALSの『WINDS OF CHANGE』や陰気臭い『EVERYONE OF US』なんかはあまり好きになれないですし、曲単位では「朝日のあたる家」や「悲しき願い」も好きにはなれません。
こんなことを書くと「コイツはわかってないな~」なんて言われそうですけど、日本では上記2曲がANIMALSの代表作だと思われているからこそ、若い世代から懐メロ・バンド、または垢抜けないグループみたいに扱われているのではないでしょうか?
ANIMALSは知名度があるわりに過小評価されているグループだと思います。
彼らは上記2曲だけの存在ではありませんし、他の曲の魅力がきちんと伝わりさえすれば、ANIMALSやERIC BURDONの評価はかなり変わってくると思っております。

個人的にERIC BURDON絡みのアルバムでよく聴くのは、ANIMALSだと『ANIMALISM』、ERIC BURDON & ANIMALSだと『LOVE IS』、それと実質的なソロ作品『ERIC IS HERE』などです。

そして、それら以上によく聴くのが、ERIC BURDON & WARです。

私がERIC BURDONのライヴで一番印象に残ったのは、ERIC BURDON & WARのヒット曲「SPILL THE WINE」でした。
ただ、ERIC BURDON & WARの巷での評価はANIMALS以上に微妙です。
過小評価気味とはいえ、ANIMALSは音楽ファンの間でそれなりの話題にはなりますが、ERIC BURDON & WARは話題になること自体が少ないような気がします。
もちろん、ERIC BURDONから独立した後のWARの評価は非常に高いのですが・・・

それでも、ヒット曲「SPILL THE WINE」(70年 全米3位)を含む彼らの1stアルバム『ERIC BURDON DECLARES "WAR"』は結構売れたこともあって(全米18位)、それなりに評価されているように思います。

でも、この2作目はどうなのでしょうか?

アルバム・タイトルに取っ付きにくさを感じる方もおられるかもしれません。

それに裏ジャケもちょっとやりすぎですし、

見開き部はもっとやりすぎです(笑)

もちろん、アルバムのコンセプトを考えたのはERIC BURDONです。


1970年にリリースされた本作は2枚組ということも影響したのか、全米82位という結果に終わってしまいました。

本作も前作同様、ファンク、ラテン、アフロ、ジャズ、R&R、という様々な音楽がごった煮になっています。
本当はWARと組んで本格的なブルースをやりたかったかもしれないERIC BURDONですが、残念ながらそれは無理でした(笑)
しかし、彼らと組むことによって、結果的にコンプレックスであった(?)黒人音楽の壁を乗り越えることに成功したのだと思います。
この『THE BLACK-MAN'S BURDON』というアルバム・タイトルも、ERIC BURDONの黒人のようになりたいという悪あがきではなく、人種や音楽の枠をぶち壊すんだ!という強い意志の表れなのでしょう。
意味深な裏ジャケや見開きのデザインもそれを物語っています。
ちょっとやりすぎではありますけどね(笑)

また、「SPILL THE WINE」もそうでしたが、ERIC BURDONの即興性の強いヴォーカルはここでも健在です。
ERIC BURDONはWARのジャム・セッション中に即興で歌をのせるという方法で曲を仕上げていたみたいですが、こういったスタイルこそが彼らの真骨頂だと思いますし、そんなことが簡単に出来るERIC BURDONは本当に天性の才能を持ったシンガーなのだと思います。

本作では再びこの曲も取り上げています。


前作『ERIC BURDON DECLARES "WAR"』と本作、どちらも非常に素晴らしい出来ですが、はっきり言って前作の方が聴きやすいです。
でも、度々聴きたくなるのは本作の方です。