レコードを集め始めたのは中学生の頃からでしたが、学生時代はお金がありませんでした。

お小遣いやバイト代の大半はレコードやCD(またはお酒・・・!)に消えていきましたが、その当時は欲しくても買えないレコードがいくつか存在していました。

下記の3枚は学生時代の私にとって欲しくても手の届かなかったアルバムです。


SPENCER DAVIS GROUP 『SECOND ALUBUM』、

MANFRED MANN 『FIVE FACES OF MANFRED MANN』、

DAVE CLARK FIVE 『SESSION WITH THE DAVE CLARK FIVE』

当時、これらのアルバムには安価な再発盤などが存在しませんでした。
(今になって考えると、私が知らなかっただけで本当は再発盤などもあったのかもしれませんが・・・)

これらの3枚のアルバムは、UKオリジナル盤がレコード店の壁に鎮座している高嶺(高値?)の花のような存在でした。

そんな高嶺の花だったアルバムですが、大人になった私の手元にはこれらのUKオリジナル盤が存在しています。
変な話ですが、こんなことからも年齢を重ねてきて良かったなと感じることがあります。

また、当時は入手困難だったアルバムも今は紙ジャケCDなども発売されて手軽に入手できるようになりました。
昔の苦労を考えると、今は本当にいい世の中になったものです。
ただ、最後の一枚のアルバムだけは例外ですが・・・(苦笑)


ANIMALSのこの作品も、そんな高嶺の花だったアルバムのひとつです。



本作は1964年にリリースされた彼らの1stアルバムです。

ほぼ同時期に発売されたYARDBIRDSの『FIVE LIVE YARDBIRDS』となぜか似たような雰囲気のジャケットですが、レコード番号はこちらの方が若いです(ANIMALSが33SX-1669、YARDBIRDSが33SX-1677)。

見た目ではこちらの方が上(?)ですが・・・

これはデビュー作ですが最初から異常なくらい真っ黒なサウンドですね。
本作を聴くとSTONESの1stが可愛らしく聴こえます。

でも、何だかスカッとはしません。

キーボードのALAN PRICEをはじめとするバックの演奏はとても手堅いのですが、どこか面白味に欠けるきらいがあります。
ALAN PRICEがその本領を発揮するのはANIMALS在籍時よりも、ソロになってからだと思います。
勿論、ERIC BURDONの野性的なヴォーカルはデビュー当時から文句なしに最高です。
でも、全体的には野暮ったい雰囲気が漂います。

実際、ニューカッスル出身の彼らは田舎者扱いされていたのでしょう。
ルックスも全く洗練されていませんし(笑)
もし、彼らのルックスがROLLING STONESやSMALL FACES並みだったら、現在の彼らに対する評価も少しだけ変わっていたのかもしれません。
残念ながら天は彼らに二物を与えませんでした・・・

あまり褒めてはいないようですが私はこのアルバムが大好きです。
カワイゲのない田舎者達がブルースだけを武器に華の都ロンドンへ殴りこむ・・・、そんな無鉄砲な心意気がこのアルバム最大の魅力だと思います。

彼らのことを「朝日のあたる家」だけの一発屋さんだとか、単なる懐メロ・グループだと思い込んでいる方には、全くシングル曲が含まれていない本作を聴いてみることをお勧めします。
本作からは彼らのR&Bやブルースに対する深い愛情や尊敬の念、そして彼らのギラギラした初期衝動感がダイレクトに伝わってきます。
きっと、彼らに対する認識が変わるはずです。

彼らが「朝日のあたる家」だけのグループだと捉えられがちな現状には全く納得できませんね。