このアルバムは1965年に発表された、PACEMAKERSの主演映画のオリジナル・サウンド・トラックです。
彼らの曲の他にも映画に出演していたCILLA BLACKやFOURMOSTの曲、さらに本作のプロデューサーであるGEORGE MARTINオーケストラ名義のインスト曲も収録されています。
全12曲中、上記の3曲を除く残り9曲が彼らのオリジナル曲ですが、巨匠GEORGE MARTINのプロデュース作にしては少々荒っぽい仕上りになっています。
恐らくアルバム制作と映画の撮影とが並行していたので、時間的余裕がなかったのでしょうが、このアルバム全体の雰囲気も決してマイナスには作用していません。
アルバムの冒頭を飾るスマッシュ・ヒット曲「IT`S GONNA BE ALL RIGHT」(全英24位)や、それに続く「WHY OH WHY」などの性急なビート・ナンバーでは、PACEMAKERSの荒々しいマージー・ロッカーとしての魅力を引き立てています。
そんな雰囲気の中でも、このアルバムの表題曲でもあるヒット曲「FERRY CROSS THE MERSEY」(全英8位)だけは特別です。
ストリングスを加えた流暢な調べは、いかにもジェントリーなGEORGE MARTINらしい仕上りになっています。
港町リヴァプールの情景が目に浮かぶ様なこの曲は、彼らを代表する曲であり、リヴァプールのテーマ曲とも言えます。
GERRY MARSDENの書く楽曲のほとんどは複雑な構成の物ではありませんが、どれも単純明快ながらも大変親しみやすい楽曲です。
ここでの彼らのオリジナル曲は高い水準の楽曲ばかりで捨て曲などは存在しませんが、そんな中でも「THIS THING CALLED LOVE」、「I`LL WAIT FOR YOU」、「FALL IN LOVE」が個人的にはお気に入りです。
港町リヴァプールの雰囲気を見事に伝えてくれるジャケット・デザインも秀逸です。
個人的には、同時期に発表されたサウンド・トラック盤でもある、BEATLESの『A HARD DAY`S NIGHT』や『HELP!』よりも大好きで、よく聴いているアルバムです。
私が所有しているのはBLUE COLUMBIAラベルのモノラル盤です。
このアルバムはたいして人気がないせいか比較的安い価格で入手可能だと思います。
数年前に東芝EMIから発売されていた紙ジャケットCDも、今ならまだ入手することが出来ると思います。
このCDは私も所有していますが、ボーナストラックに収録曲の貴重なステレオ・バージョンや、アルバムには収録されていないシングル曲が含まれています。音質も良いのでお買い得です。
このアルバムの素晴らしい楽曲の数々は“懐メロ”や“オールディーズ”などでは断じてありません。
まだ、このアルバムをお持ちでない方は、ご自身の耳で是非とも確認してみてください。
ここまでは一年前に書いた記事です。
オマケに映画『FERRY CROSS THE MERSEY』からの動画です。
バンド・コンテストに遅刻したPACEMAKERSのピンチヒッター、CILLA BLACKです。
BRIAN EPSTEIN的にはこっちがメインかな?
続いて、遅れて会場入りした我らがPACEMAKERSの登場です!
バンド・コンテストに見事優勝!
感動的な名シーンです(笑)