LONG JOHN BALDRYはブリティッシュR&Bシーンを代表するシンガーの一人です。
当時のイギリスには所謂”黒っぽい”シンガーは星の数ほど(?)多くいましたが、その”濃厚さ”では彼とCHRIS FARLOWEの二人が双璧であったと思います。

そんな実力派の彼が、ブリティッシュR&Bの名盤であるデビュー作、『LONG JOHN'S BLUES』に続けて発表した2ndアルバムが本作です。

本作は1966年にリリースされましたが、残念ながらチャート入りを逃してしまいました。

本作では1stアルバムでの渋いR&B/ブルース路線からうって変わり、ビッグ・バンドを配したゴージャスな路線へ変化しています。
特にRIGHTEOUS BROTHERSの『YOU'VE LOST THAT LOVIN' FEELIN'」からスタートするA面は全体的にムーディーな雰囲気になっています。
他にWALKER BROTHERSの「MAKE IT EASY ON YOURSELF」など、英国風ウォール・オブ・サウンドともいえる曲がA面に収録されています。
彼ほどの高い実力になると、どんな歌を歌わせようが上手いとは思うのですが、このA面のムーディーな雰囲気は少々退屈に感じてしまいます。

しかし、ノリの良い曲が多いB面になると少し雰囲気が変わってきます。
「KEEP ON RUNNING」のカバーや、THEMもカバーした「TURN YOUR LOVELIGHT」などのアップ・テンポの曲の方が、彼のヴォーカリストとしての持ち味がよく出ているように感じます。
B面冒頭の「STOP HER ON SIGHT(S.O.S)」などにおける渋くて深みのある声は、やはり他のヴォーカリスト達とは一味も二味も違っています。

そのため、私がこのアルバムを聴くときには、いつもB面を中心に聴いています。