これは私が所有しているレコードの中でも”高かった”部類に入るアルバムです。

PRETTY THINGSの3rdアルバムとして1967年にリリースされた本作は、残念ながらチャート入りを逃してしまいました。

このアルバムはメンバー達の意向に反して、プロデューサーによってホーン・セクションなどが勝手にダビングされたという、いわく付きの作品です。
そのため、メンバー達の間で本作は”無かった事”になっているようです。

しかし、そんな本作ですが、良い物は良いのです!
本作ではメンバー達から忌み嫌われたホーンのアレンジもピタリと決まっています。
どれも真夜中を疾走するようなシャープでカッコいいアレンジです。
勿論、原曲自体の出来も良いのですが、これがないと締まらない感じがします。
(ホーンを抜くと結構アコースティックなサウンドです。これはこれで悪くはないのですが・・・)
それに、所々に散りばめられたサイケな雰囲気もグッドです。

本作で気に入っている曲としては、アルバムの冒頭を飾る「DEATH OF A SOCIALITE」や、疾走感溢れる「THERE WILL NEVER BE ANOTHER DAY」、「PHOTOGRAPHER」、そしてホーンが効果的に決まっている「OUT IN THE NIGHT」などです。
「OUT IN THE NIGHT」なんて、まさに真夜中のスウィンギング・ロンドンといった趣きです。
これらの曲は真夜中に聴くと抜群にカッコよく感じます。
勿論、他の曲もフォーキーであったり、サイケな雰囲気であったりと、ちょっとクセのある佳曲が揃っています。

本作においては前作・前々作ようなワイルドさは希薄ですが、クールで洗練された彼らもカッコいいと思います。

個人的に”スウィンギング・ロンドン”という言葉を最も連想させるアルバムは本作です。
また、真夜中になると最も聴きたくなる作品でもあります。