今日は先日遅れに遅れて届いた、このアルバムを聴いていました。

KINKSのUS4thアルバム『KINKDOM』です。

1965年にリリースされ全米47位を記録した本作には、「A WELL RESPECTED MAN」(全米13位)、「WHO’LL BE THE NEXT IN LINE」(全米34位)が収録されています。

本作にはUKオリジナル・アルバムに収録されていない曲が数多く含まれています。
英国での1stEPに収録されていた「LOUIE LOUIE」から最新のシングルまで、非常に寄せ集め感たっぷりの強引な選曲ですが、これはこれでとても価値があると思います。
今ならこれらの曲はCDのボーナス・トラックなどで容易に聴くことができますが、ボーナス・トラックとアルバム収録曲では同じ曲でも意味合いが全然違ってきます。
確か本作は(単独では)CD化されていなかったと思いますけど、もう少しくらいは光が当たってもよいように感じます。
実際、市場規模の大きいアメリカで発売されていた本作に慣れ親しんでいた人の数は決して少なくなかったはずですからね!
(KINKSに限らずですが)US編集盤ということだけで、あまり評価されないのはちょっと勿体ないです。

それはそうと、何となくですけど60年代のKINKSはアメリカであまり大きな成功を収めなかったイメージがあるように思います。
それは彼らがアメリカでの数々のトラブルによって4年間の出入り禁止を喰らってしまったり、英国四大バンド(?)であるBEATLESやSTONESなどと比べると、ヒット曲数が少ないというのが要因かと思われます。

しかし、60年代のビート・グループで明らかにKINKSを上回っているヒット曲数があるのは、BEATLESとSTONES、DC5、HERMAN'S HERMITSくらいです。
KINKSは3曲の全米トップ10ヒットを持っていますが、これに並ぶのがPETER & GORDON、GERRY & PACEMAKERSといったところです。
これはアメリカで成功した印象が強いYARDBIRDSよりも安定した成績ですし、アメリカでは早い時期から人気を保っていたANIMALSにも引けをとっていないと思います。
ブリティッシュ・インヴェイジョンといっても上記のビート・グループ以外はほぼ一発屋さんでした。
そんな中でKINKSはむしろ大成功した部類に入ると思います。

また、ブリティッシュ・ビート・グループの中でも、KINKSがアメリカのファンに与えたインパクトはかなり大きかったと思われます。
それはヒット曲数の多さもありますけど、同時代の米国産ガレージ・バンドからのカバー率の高さからも伺えます。
KINKSは同じくガレージ・バンドからのカバー率が高かったSTONES、THEM、YARDBIRDSらと同様に、同性のファンからも”カッコいいバンド”だと思われていたのでしょうね。
アイドル的な人気だけならどうしても一過性のものに終わってしまいがちですが、数多くの根強いファンを獲得していたという背景があったからこそ、出入り禁止の後に発売された「A WELL RESPECTED MAN」が大ヒットしたり、それに続いて発売された本作の成績が前作『KINDA KINKS』(全米60位)を上回ったりしたのだと思います。

それにKINKS自身もアメリカでの活動を完全に諦めていたわけではないと思います。
出入り禁止には大きなショックを受けたと思いますけど、全米制覇という目標はブリティッシュ・ビート・グループに組み込まれたDNAみたいなもので、KINKSもその例外ではなかったはずです。
実際、出入り禁止後もSHINDIG!のような人気テレビ番組には出演していました。



勿論、アメリカでの収録はできませんから、本国からのビデオ出演です。
多分SHINDIGダンサーズは別撮りです(笑)
私はSHINDIG!のブートDVDを持っていますけど、KINKSの出現率はやたらと高いような気がします。

ただ、やはりアメリカでのライヴ活動が出来ないというのは大きな痛手でした。
(後発のWHOがアメリカで大成功することができたのは、モンタレーやウッドストックのような大きなイベント出演だけではなく、67年以降の継続的な全米ツアーの成果だったと思います)
しかし、この時期にしっかりとしたインパクトをアメリカのファンに残せたからこそ、その後も忘れさられることもなく、”英国四大バンド”の一角を占めることになったのだと思います。