少し前の記事のコメント欄で、DION & THE BELMONTSについてのコメントがありました。
私はそこで「1stアルバムのCDをAmazonで検索してみたら690円で売られていました。」なんて返答をしていました。
しかし、Amazonの商品情報欄をよくよく読んでみると、そのCDの発売元は英HALLMARKでした。
HALLMARKはPICKWICK傘下のレーベルです。
昔から廉価盤や少々怪しい企画盤の類を発売していたレーベルですが、近年では著作権の保護期限が切れた作品(?)のCDを廉価で再発していました。
貴重な作品の数々を廉価で再発してくれるのは非常にありがたいことなのですが、その音源は極めて怪しい物が多いです。
実際、私が購入したJACKIE WILSONの『LONELY TEARDROPS』は明らかに盤起こしでした。
終始チリノイズが目立つのはまだ我慢できましたが、途中で針飛び箇所があったのには怒りを通り越して笑ってしまいました(苦笑)
このような廉価CDシリーズにオリジナルのマスター・テープの使用が許可されるわけないのでしょうけど、どうせ盤起こしならもう少しまともな状態の盤を使用してほしかったです(笑)

そんなHALLMARKの再発CDですから、DION & THE BELMONTSの1stアルバムもまともな音ではない可能性がありました。
しかしながら、そのようなグレーなCDをコメント欄で気軽にご紹介してしまったからには、CDの中身を確認する義務が私にあるように思えました。

そんなわけで購入したDION & THE BELMONTSの1stアルバム『PRESENTING DION & THE BELMONTS』のCDです。

DION & THE BELMONTSはニューヨーク出身の4人組ドゥーワップ・グループです。
彼らはイタリア系のアメリカ人で、50年代末の「ホワイト・ドゥーワップ」ブームの草分け的存在でもあります。
イタリア系アメリカ人といえば先日取り上げたFOUR SEASONSもそうですし、少し後のRASCALSもそうですね。
イタリア系の人達には「ブルー・アイド・ソウル」の流れが脈々と受け継がれていると思います。
そんな彼らはデビュー曲「I WONDER WHY」(全米22位)でデビューすると、「NO ONE KNOWS」(全米19位)、「DON'T PITY ME」(全米40位)、「A TEENAGER IN LOVE」(全米5位)、「WHERE OR WHEN」(全米3位)などのヒットを連発します。

それらのヒット曲を含んだ彼らのデビュー・アルバムが本作『PRESENTING DION & THE BELMONTS』ですが、後にソロで活躍するリード・シンガーDION DIMUCCIの歌声はまだ初々しい感じですし、曲も全体的に甘めのものが多いです。
それでも、ホワイト・ドゥーワップの傑作であるこの曲が入っているだけでも買いでしょう!

50年代後半のアメリカには白人には白人の音楽、黒人には黒人の音楽、という明確な垣根がありました。
ホワイト・ドゥーワップのブームはそのような人種間にある音楽の垣根を壊すのに大きな役割を果たしたと思います。
今は懐メロやオールディーズみたいな扱いを受けることが多いドゥーワップですけど、私には今も生きている音楽に聴こえます!