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DAVE CLARK FIVE USオリジナルアルバム解説 1967~68 [DC5 US盤]

すっかりご無沙汰になっていましたが、やっとDC5特集の最終章です。

1967年以降、彼らのアメリカでの人気は急落してしまいました。
この時期の彼らの作品には初期のような個性がないので聴く価値が少ない、という論調もあると思います。
しかし、作品自体は決して悪いわけではありません。
どのアルバムにも必ず光っている曲が収録されています。
売れなくなった=作品が悪い、ということには必ずしもならないと思います。

というわけで、残りのアルバム3枚を早速聴いてみたいと思います!


5 BY 5 (全米119位) ★★
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これはDC5をはじめて聴こうとされる方には最もお薦めすることができないアルバムです。
収録曲は全て彼のオリジナルですが、あまり”ポップ”ではありません。
唯一の(小)ヒット・シングルである、「NINETEEN DAYS」(全米48位)にしても、あまり一般受けするような内容とは言えません。
他の収録曲にしても、曲の出来自体はそれほど悪くないのですが、全体的に地味で抜きん出た曲が少ないように思います。
また、全体的にガレージ色が強まっており、それと同時にマイナーな感じも漂ってきています。
ここでの彼らには昨年までの超メジャーな雰囲気はありません。

このアルバムは初心者向けではないかもしれませんが、ガレージ~フリーク・ビート好きの方には楽しめるかもしれません。
DC5のB級バンド的な面が好きな方には堪らない内容だと思います。
そのような方は少ないと思われますが・・・(苦笑)


YOU GOT WHAT IT TAKES (全米149位) ★★★★
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これは後期のアルバムの中で最もお薦めできる内容です!
最後の全米トップ10ヒット「YOU GOT WHAT IT TAKES」(全米7位)や、「I'VE GOT HAVE A REASON」(全米44位)などなど、収録曲にハズレはありません!

この1967年という激動の時期にDC5はサイケな方向には行かず、常に”ポップ”であり続けようとしました。
これは現在において、彼らが時代遅れの存在だったというレッテルを貼られてしまう一因でもあるのですが、ある意味潔い良い選択だったと思います。
しかし、彼らもレコード・セールスが急落してしまったという事実を踏まえて、いくつかの軌道修正を行いました。
それは、
1.ファズ・ギターを中心としたガレージ的な音作り
2.ホーン・セクションの多用
3.MOR路線
という3点です。
このアルバムではそれらの要素が上手くミックスされ、非常にクオリティーの高い内容になっていると思います。
唯一、マイナス面があるとすれば、1964年に録音された「THINKING OF YOU BABY」が収録されていることでしょうか。
本作のA面の流れは素晴らしいのですが、この曲だけは明らかに浮いています。
しかし、このアルバムから増え始めたカバー曲にしても、オリジナル曲にしても完成度は非常に高く、初期の頃の諸作と比べても遜色ない出来だと思います。
そして、ここで充実しているのは、やっぱりMIKE SMITHのヴォーカルでしょう!
「YOU GOT WHAT IT TAKES」における快唱は勿論、「YOU DON'T PLAY ME AROUND」のようなバラードから、「DOCTOR RHYTHM」のようなカッコいいガレージ風味の曲でも、彼のヴォーカルは文句なしに素晴らしい!

本作は彼のヴォーカリストとしての魅力が最も発揮されているアルバムかもしれません。
ただ、「BLUEBERRY HILL」における彼のヴォーカルは力が入りすぎてイマイチだと思います・・・

EVERYBODY KNOWS ★★★
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1968年にリリースされたアメリカでの最終作です。
本作には、「EVERYBODY KNOWS」(全米43位)、「YOU MUST HAVE BEEN A BEAUTIFUL BABY」(全米35位)、「A LITTLE BIT NOW」(全米65位)、「RED AND BLUE」(全米89位)という小ヒットが4曲収録されていますが、とうとうアルバム・チャート入りは逃してしまいました。
そんな人気低迷状態で開き直ったのか、本作でのDC5はやりたい曲を好き勝手にやっている印象があります。
ハッキリ言って寄せ集め的な内容でアルバムのコンセプトも何もない、ある意味実にDC5らしい(笑)まとまりのない内容のアルバムになっています。

でも、そんな本作の印象は意外と悪くありません。
それは前作と同様MIKE SMITHの大活躍もあるのですが、本作の核となっている上記の小ヒット・シングル4曲の出来が悪くないからでしょう。
シングル曲が充実している反面、本作に収録されているオリジナル楽曲の出来はややイマイチな感じもするのですが、それでも平均水準以下の曲は少ないですし、「CONCENTRATION BABY」のようなガレージR&Bの傑作も収録されています。
この時期のDC5の評判はあまり芳しいものではありませんが、開き直ってしまった彼らにもそれなりの魅力があると思います。


以上の3枚はどれも大して売れなかったせいか、中古市場でもそれほど出回っておりません。
中でも、最終作『EVERYBODY KNOWS』はあまり見かけることがありません。
これらは初期の頃のUS盤よりも値段が高く、3000円台から4000円台くらいで売られているようです。

ちなみにこの3枚にはリアル・ステレオ盤が存在しています。
個人的な見解ですが、この3枚についてはステレオ盤の方が断然良いと思います。


これでDC5のUS盤紹介はおしまいです。

そのうちDC5のUK盤についての簡単な紹介もしたいと思います。
もし、DC5のオリジナル・アルバムが正式にCD化されるなら、UK盤がフォーマットになるはずですからね!
でも、某社長さんなら枚数が稼げるUS盤を基準にするかも・・・(苦笑)

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Pandaboy

うちの解説のほうが中々進まないので、先を越されて焦ってますが、ともかくアルバム解説お疲れ様でした。
この調子でUK盤も期待してます。

しかし、サイケな方向へは行かずに取り残されたといわれつつも、『YOU GOT WHAT IT TAKES』なんて、ジャケットがいかにもその時代のモノらしくて、これは是非音を聴いてみたいと思うのですが、CD再発はまだなんでしょうか?
このまま埋もれさせるのは惜しい話です。
by Pandaboy (2009-03-14 18:27) 

poposuke

Pandaboyさん こんばんは

67年という時期は『SGT. PEPPER'S』のような革新的なアルバムでなければダメだという風潮があると思います。
でも、革新的でなくても素晴らしい作品は沢山あるのです。
『YOU GOT WHAT IT TAKES』もそんな一枚です。
これは67年というフィルターを外して聴くと素晴らしいアルバムだと思います。
しかし、67年ならサイケやコンセプト・アルバムでなければ全てゴミだ!と思っている方にとっては★1個くらいのアルバムだと思います(笑)

ちなみに、このアルバムの正式なCD化はまだ先のことになりそうです(苦笑)
蛇足ですが、タイトル曲だけはMP3でブログ内にアップしておきました。

それと、キンクスのアルバム紹介もそろそろ最終章だと思います。
キンクスはアルバム枚数が多いので大変かと思いますが、期待して待っておりますよ♪
by poposuke (2009-03-14 22:31) 

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