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BILLY J. KRAMER WITH THE DAKOTAS "LISTEN..." [MERSEY BEAT]

今回もBEATLESファンにはお馴染みの人です。

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1963年に彼らのデビュー作としてリリースされた本作は、全英11位まで上昇しました。

BEATLESファンの方には今さら説明不要かと思いますが、彼らもまたBRIAN EPSTEINのマネージメント下にあり、プロデューサーはGEORGE MARTIN、レコード会社はBEATLESと同じPALOPHONEでした。
ちなみにBILLY J. KRAMERという名前は芸名で、その名付け親はJOHN LENNONと言われています。
BRIAN EPSTEIN傘下のアーティストの中で、最もBEATLESと縁が深かったのは彼らかもしれません。

彼らはBRIAN EPSTEINのマネージメントで先にデビューしていたBEATLESやGERRY & PACEMAKERS等のビート・グループとは違い、ヴォーカリストとそのバック・バンドという一世代前(?)のスタイルで売り出されました。
これは、BEATLES等のビート・グループとファン層が被らないようにしたBRIAN EPSTEINの戦略だったのでしょう。
しかし、このことは彼らが他のビート・グループに比べて、やや前時代的な存在に見られてしまう一因になっていると思います。

そんな彼らは4曲ものLENNON-McCARTNEY作品を提供され、いずれもシングルとして大ヒットしました。

「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」(全英2位)、
「BAD TO ME」(全英1位)、
「I'LL KEEP YOU SATISFIED」(全英4位)、
「FROM A WINDOW」(全英10位)

他にもシングルのB面用に「I'LL BE ON MY WAY」、「I CALL YOUR NAME」(本作にも収録されています)の2曲も提供されています。

どれも極上のマージー・ビート・ナンバーです。
(「I'LL BE ON MY WAY」はややイマイチですが・・・)
これらの曲は、他人に提供したLENNON-McCARTNEY作品としては傑作に入る部類だと思います。
やはり、BRIAN EPSTEINの彼らに対する力の入れようは(この時点では)半端ではなかったのでしょう。
このLENNON-McCARTNEY作品の多さは、当時の彼らにとって話題性などの意味でプラスになっていた反面、現在ではオリジナル性の欠如として軽く見られる一因にもなっていると思います。

BILLY J. KRAMERという人は特別に上手いヴォーカリストではありません。
本作でも常に話題になるのは、彼の魅力を見事に引き出したGEORGE MARTINのプロデュース・ワークと、バック・バンドの鑑ともいえるDAKOTASの演奏能力の高さです。

特にバックのDAKOTASは決して目立ち過ぎることはなく、手堅い演奏で主役を盛り立てています。
彼らの演奏能力の高さはタイトに仕上がったLENNON-McCARTNEY作品、「I CALL YOUR NAME」を聴けば分かります。
(興味のある方はBEATLE版と聴き比べてみるのも面白いと思います)
彼らこそはTREMELOESと並ぶ、英国を代表する(?)バック・バンドです。

しかし、本作の主役はあくまでもBILLY J. KRAMERなのです。
彼は不器用なヴォーカリストではありますが、どの曲でも丁寧に歌う姿勢にはとても好感が持てます。
また、彼のソフトなヴォーカルはGEORGE MARTINが作り出すジェントリーなマージー・サウンドにピッタリとマッチしていると思います。
どちらかといえばヴォーカリストとしては厳しい評価を受けがちな彼ですが、本作やLENNON-McCARTNEY提供曲のシングルなどを聴く限り、決して悪い印象はありません。

ただ、本作は全体的に甘~い感じの仕上がりなので、ブリティッシュ・ビート好きの方には少々物足りなく感じるかもしれません。
そんな方には本作よりも、アメリカのみでリリースされた彼らの最終作『TRAIN AND BOATS AND PALNES』がお勧めです。
ここでのBILLY Jは甘い雰囲気だけではなく”マージー・ロッカー”としての魅力に溢れています。
また、今までバック・バンドとしての役割のみに徹してきたDAKOTASとの間にはバンドとしての一体感も出ています。
このアルバムは実質的な最終作ともあって少々地味な存在ではありますが、なかなかの傑作だと思います。
少し本作から話がズレてしまいましたね(苦笑)


私が所有しているのはUKオリジナルのモノラル盤です。
レーベルはBEATLESと同じ“YELLOW PALOPHONE”ラベルです。
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マトリックスは両面1で、タックス・コードは”MT"刻印です。

ジャケットはGARROD & LOFTHOUSE社製で、表のみがラミネート・コーティングされています。
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裏は取り出し口を除く3辺が折り返されています。

付属しているインナーは所謂“EMITEX”です。
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窓の部分が透明になっているタイプの物です。

このUKオリジナル盤は同年に発売されたBEATLESの初期2作や、GERRY & PACEMAKERSの1stと同様、オープニングからもの凄い迫力の音が飛び出してきます。
やはり、この時期に制作されたEMI系オリジナル盤のラウドな音は、少し後に制作された盤の音とは違っています。
本作に収録されている曲と、66年(?)にリリースされたMFPからの編集盤『BILLY BOY』に収録されている曲を聴き比べてみましたが、迫力の差は歴然でした。

このUKオリジナル盤は不人気のせいか比較的安価で入手可能かと思います。
しかし、シングル曲が全く収録されていないオリジナル盤よりも、上記のLENNON-McCARTNEY提供曲もボーナス・トラックとして全て収録された紙ジャケCDの方がお買い得かもしれません。
紙ジャケCDは数年前に東芝EMIから発売されていた物で現在は廃盤状態になっているようですが、これも不人気のため(苦笑)中古市場で容易に入手できると思います。


オマケの動画です。
彼らの2ndシングル「BAD TO ME」です。

典型的なJOHNの曲です。
これはDAKOTASがトリオ編成になっているので65年頃の映像だと思います。
ちなみにこの頃のギタリストはMICK GREENです。
彼はPAULのソロ・アルバムにも参加していましたよね。多分この頃からの付き合いなのでしょう。

続いて、1964年のNMEコンサートからの映像です。

「I'LL KEEP YOU SATISFIED」と「THEY REMIND ME OF YOU」です。
「I'LL KEEP YOU SATISFIED」は多分PAULの曲(違うかな?)、「THEY REMIND ME OF YOU」は大ヒットシングル「LITTLE CHILDREN」のB面に収録されている曲です。
「THEY REMIND ME OF YOU」はスタジオ版よりライヴの方がいいかもしれません。
それにDAKOTASはやっぱり上手い!


熱心なBEATLESファンを自認されている方なら、このBILLY J. KRAMER & DAKOTASや先日取り上げたFOURMOSTなど、BETALESと縁深いアーティストを当然聴いておられると思います。
しかし、もし彼らのことを無視されているのなら、それは大きな損失だと思います。
彼らのLENNON-McCARTNEY作品とBEATLES自身のバージョンを聴き比べる楽しみがあるのは勿論ですが、それ以外に彼らが残した曲の中にも必ず光る物はあるはずです。

当時の音楽シーンの奥深さを知ることは、BEATLESの魅力の再発見・再確認にも繋がることだと思います。

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