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BEATLES 'PAPERBACK WRITER / RAIN' とサイケなシングル盤 [BEATLES]

今日は朝からこのシングル盤を聴いていました。

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BEATLESの「PAPERBACK WRITER」&「RAIN」の超強力シングルです。

BEATLESにはA面に負けないくらい素晴らしいB面曲が数多く存在しますが、「RAIN」はその中でも格別な曲です。


ところで、このシングルはBEATLESを扱うブログなどで、”時代を先取りしたサイケデリックなシングル”として紹介されたりしています。
確かに、このシングルが音楽シーンに与えた影響は大きかったと思われます。

しかし、”時代を先取りした”というのにはちょっと疑問を感じます。

テープの逆回転などを駆使した”スタジオ・ワーク”という点では疑う余地なく時代を先取りしていたはずですが、”サイケなシングル”としてはどうでしょうか?

”サイケデリック”というムーヴメントの震源地はアメリカです。
当たり前の話ではありますが、本場アメリカのアーティスト達はBEATLESよりも早くからサイケな要素を楽曲に取り込んでいました。
メジャーどころの代表例としては、BYRDSの「EIGHT MILES HIGH」(全米14位、全英19位)があります。
この曲は「PAPERBACK WRITER / RAIN」よりも早く発売され、アメリカでは「ドラッグ・ソング」として放送禁止になりました。

なので、BEATLESも”サイケデリック”という部分では後追いでした。
あくまでもBEATLESはイギリスのアーティストなので、それも当然なのですが・・・

それでも、サイケデリックというムーヴメントを世界中に広めたという点においては、BEATLESが果たした役割も大きかったはずです!
BEATLESは何をやらせても素晴らしいのですが、サイケな曲をやらせても超一流でしたからね!

ただ、ごく一部のBEATLESファンだけだと思うのですが、”どんなことでも一番最初にやったのはBEATLESだ!”ということを主張される方がおられます。
この”サイケ”についてもそうです。
私も一ファンとして、自分の好きなアーティストが何でも一番であって欲しい、という気持ちは理解出来ますが、事実を曲げたり他のアーティストの功績を無視することが愛情の深さではないと思います。

それと、これは私の思い込みかもしれませんが、ごく一部のBEATLESファンは(黒人音楽やBEACH BOYSなどを除く)同時代のアメリカのアーティストを軽視する傾向にあると思います。
例えば、BEATLESがアメリカに進出したことによって、アメリカの前時代的なアーティスト(笑)は絶滅した(苦笑)という論調があります。
でも、1964年から66年のヒット・チャートを見ると絶滅したはずの旧世代のポップス(?)もしっかりと生き残っているんですけどね。
多くの(少数かな?)BEATLESファンが注目しないだけで、64~66年のアメリカ産の音楽にも素晴らしいものは沢山存在します。
そのことについてはこのブログでもいずれ取り上げますが・・・

BEATLESの全米進出によって、アメリカの音楽シーンやビジネスが大きく変わったのは事実だと思いますが、決してBEATLES一色だったわけではありません。
でも、これって必要以上にBEATLESを持ち上げる一部の音楽評論家やレコード会社に根本的な問題があると思うのですが、どうでしょうか?
BEATLESを持ち上げるために、他の同世代アーティスト達を低く見てしまう・・・、音楽に変な対立概念なんて不要なんですけどね。
同世代のアーティストをしっかり聴くことによって、BEATLESの等身大の姿が見えてくると思うのですが・・・


話が関係ない方向に行ってしまいましたね(汗)


それでは、BEATLESの本拠地であるイギリスにおける最初のサイケなシングルはどれなのでしょうか?

ちなみに、イギリスでの「PAPERBACK WRITER / RAIN」のリリースは1966年6月です。

BEATLES以外で真っ先に思いつくのはJEFF BECKを擁するYARDBIRDSです。
1966年当時の彼らは最も先鋭的なシングルをリリースしていたビート・グループのひとつでした。
積極的にアメリカ進出していた彼らは早くからサイケな風に吹かれていた可能性が高いです。

しかし、彼らの明らかにサイケなシングル「OVER UNDER SIDEWAYS DOWN」のリリースは「PAPERBACK WRITER / RAIN」と同じ時期です。
これより前の「SHAPES OF THINGS」は66年2月リリースですが、サイケというにはちょっとどうでしょうか?
JEFF BECKのリード・ギターはそれっぽいのですが。


次に思いついたのはMERSEYSのこのシングルです。
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ボウイのカバーの方が有名になってしまいましたが、MERSEYSのオリジナルは結構サイケ風です。

ちょっと「RAIN」にも通じた雰囲気があると思います。
この曲は1966年4月に全英4位のヒットになりました。
英国での最初のサイケなシングルというよりも、”最後のマージー・ビートのヒット曲”と言えるかもしれませんね(笑)

これよりも前となると、こんなのがあります。
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PNKERTON'S 'ASSORT' COLOURSの「MIRROR,MIRROR」です。

この曲は1965年末にリリースされ、翌66年1月に全英9位を記録しました。

サイケの本場であるアメリカ西海岸辺りのグループがやりそうな曲です。
どサイケという曲ではありませんが、独特の浮遊感のあるサウンドがそれらしく感じさせます。
でも、これならちょっと弱いかな?


どれがイギリスにおける最初のサイケなシングルかというのは本当に難しいですね。

というか、それ以前にサイケそのものの定義が難しいです(笑)

他にも何か思いつくシングルがあれば教えて下さいね!

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コメント 6

JD

POPOSUKEさん、こんばんは。
ご無沙汰です。ブログは欠かさず見ていますがコメントは時間的余裕がなく断念していました。
今晩は久しぶりに余裕ありで、なおかつ面白いテーマなので書かせてもらいます。

仰る通りサイケの定義が難しいけれど、すぐに思い浮かんだ3曲は次の通りです。

Kinks: See my friends, Yardbirds: Heartful of Soul, The Who: Anyway,anyhow,anywhere

全て1965年半ばの曲です。
The Whoの2ndシングルは間奏がfeedback guitarと言うだけでサイケ狙いではないことはわかっていますが、それでも初めて聞いた人には驚きのサウンドだったでしょうね。他の2曲はサイケでなくラーガロックでしょうか?そう言えばBeatlesもNorwegian woodがRubberSoulに収録されていましたね。
by JD (2009-07-11 23:14) 

reds20061222

そうですね~、確かにどれが最初かってのは当時の全てのシングルを把握しないと無理かもですが、適当でいいんじゃないですかね(笑)。
行きつけのレコード屋さんでもそういう類の話はよくします。

ポポスケさんも僕も当時の知られていないシングルを狩って(買って)いる努力をしているので、ここらへん、やりがいがありますね。でもこういうのはとっくに発掘されているはずなんです。何故かと言うと自称マニア・オタクが多いので。
その参考文献を頑張って探してまとめたいです(でも疲れるからやめときます)。
by reds20061222 (2009-07-11 23:18) 

poposuke

JDさん こんばんは

相変わらずお忙しいようですね。
私はだいぶ仕事に余裕が出てきましたが、肝心のヤル気がイマイチです(苦笑)

私も「Heartful of Soul」は思い浮かんだのですが、ちょっと違うかな~と思って外してしまいました(笑)

「Anyway,anyhow,anywhere」は仰るように意図的ではないと思いますが、混沌とした雰囲気がそれっぽいかもしれませんね。

「See my friends」!お~!それがありましたね!
完全に忘れておりました(汗)
これは確かに初期サイケです!
そう考えると、KINKSって意外と先鋭的なバンドですよね(笑)

by poposuke (2009-07-12 00:08) 

poposuke

redsさん こんばんは

どれが最初かというのは、厳密には分からないはずですし、仰るように適当でもいいと思います(笑)
ただ、”初期サイケ”というのならマイナーなシングルはあまり当てはまらないかもしれませんね。
それが、本場アメリカなら話は別ですけど・・・

こういうのはいろいろな説があるから楽しいのでしょうね♪
答えが一つしかないなんて、あんまり面白いことではありません。

by poposuke (2009-07-12 00:14) 

ひで

むか〜し、どこかの偉い評論家さんがいってましたよ。
ビートルズってのは何処かで面白そうなムーヴメントにいち早く目を付け、自己の音楽に取り入れるのが凄く上手で、アングラだったモノをメジャーに変えるアンプみたいな存在だったって。
なるほどなぁ〜と思いました。

誰が最初のオリジネイターか?って議論はむずかしいですよね。
ロックで最初のコンセプトアルバムはsgt.peppersって説も、whoのsell outが先だとか、なんか色々言う人が居て。
まあ、どっちでもいいジャン。音が良ければって僕なんかは思うんですけどねぇ〜
by ひで (2009-07-12 02:12) 

poposuke

ひでさん おはようございます

”サイケ”もそうですが、”コンセプト・アルバム”も定義そのものが難しいので厳密に誰が最初かというのはさっぱり分かりません(笑)
ひょっとしたら、女性についての歌ばかり集めたBACHELORSの『BACHELORS' GIRL』こそが最初のコンセプト・アルバムかもしれませんしね(笑)
そんな珍妙な説を唱える人はいないと思いますが(笑)、いろんな説があっても良いのではないでしょうか?
そもそも、個人的に”アルバム・コンセプト”というのはそれほど重要だと思っておりません。
仰るように、そんなことよりも曲そのものの良し悪しの方がずっ~と重要ですからね♪

様々な音楽を世界に幅広く発信したのは、BEATLESの大きな功績だと思います。
その影響力があまりに大きすぎたので、”なんでもBEATLESが一番最初にやった”みたく思えてしまうのは仕方ないことなのかもしれません。
でも、”レゲエを最初に世界に広めたのはBEATLESだ”なんて記述を見たりすると、ちょっとな~と思ってしまいます(笑)
by poposuke (2009-07-12 07:30) 

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